2015年10月14日水曜日

BRM1011函館400km 「ほぼ」完走

10月11日AM6時スタートのBRM1011函館400kmに行ってきました.


 実は,暴風警報でブルベそのものは中止となったのですが,「ほぼ」完走して,12日AM2時半頃にスタート地点である公立はこだて未来大学に帰還しました.

前日からの宿泊は,北斗市のホテル秋田屋・しんわの湯 .安くて,温泉が広くて,すごく良かったです.

事前の準備:気温が低い雨予報だったので,パールイズミのレインパンツを購入.さらに,SPDの冬用シューズを使うべく,ペダルもSPDに付け替えました.
ペダルがごつくて見慣れないけど,無骨で良いようにも見える

スタート時は曇り.雨は午後から降って夕方には止む模様.その時間だけしのげれば・・

函館市内から,ちょっとした山を超えて恵山へ.少し暑いくらい.うまく放熱できなくて,体のパフォーマンスが落ちる感じがしたので,レッグウォーマーをずり下げて走っていたら写真を撮られました.ブルベは体温調整が難しいです.

wakasaサイクリングでも来たことがある鹿部を通りすぎて森町へ.5号線に出て大沼に向かうところでいよいよ雨が降ってきたので,レインパンツ初出動.思ったより邪魔にならないし,蒸れもしない.いい感じ.

大沼を横切って,中盤3連続上りの一つ目,城岱牧場へ登ります.
看板の表示は10%,10%,10%とどこまで行っても激坂続き.時速6km/時.眼下には新幹線のラインがひかれている北斗市が見えます.
右側奥が北斗市
登り切ったところで,スタッフのPeterさんが「タノシカッデショウ?」「うーん,そうですね!」

下って北斗市のPCで休んでいる時に,雨が本降りに.
めちゃくちゃ帰りたくなりましたが,意を決してコンビニのお姉さんにレジ袋をおねだりして,シューズにかぶせて装備完了.クリートは気にせずこのまま装着可能.
見た目が悪いけど,この後10時間も濡れてられない
背に腹は替えられない

きじひき高原の手前でDNFらしきライダーさんとすれ違うが,雨は弱まっていたので,二つ目のきじひき高原をやっつけに登ります.ヒルクライムで2回位登ったことがありますが,だからといって楽なわけではない.キャンプ場までなので,気分だけはちょっと楽.
キャンプ場が見えてきた.

キャンプ場の看板を確認して折り返して,大野国道227号線に出て,土方歳三の激戦地である中山峠へ.紅葉が綺麗でした.峠を越えたら,あとは大きな上りはないはず.と,この時点では楽観的に.
中山峠の紅葉

しかし,江差に入って,南西からの向かい風が強くなります.
ここで向かい風ってことは,松前を過ぎたら追い風になるってことで・・・
とはいっても,かなり強い風.右手には荒ぶる日本海の波.暗くなって夜間走行になり,不安感はいっそう増します.

風の上に,ゲリラ豪雨もくらって,凍えながらも上ノ国町のPCにたどりつき,一休み.
地元のおじさんが,20km手前くらいから,いっぱいサイクリストを見たよ,とのことで,皆さん,この向かい風の中を走っているのねって,勇気づけられました.

しかし,そこからが更に大変.
道路表示には「暴風警報」の赤い文字.時々ものすごい右斜め前から(西南)の突風で進まない,どころか,自転車ごと持ってかれそうになる.
さらに風が強くなる橋の上では,車道側にあおられたり,逆に欄干から落ちそうになり,降りて押しました.SPDシューズでよかった.
あまりの風の強さにヘルメットのバイザーが吹っ飛んでいき,後輪の泥除けも外れてしまいました.
もったいないとか思う心の余裕もありませんでした.
シューズに巻いたレジ袋もいつのまにかなくなってました.

身の危険を感じるほどの風の強さと夜の暗さに,自転車を降りて,道路の側溝に自転車を入れて,草っぱらに身をひそめて,心を落ち着かせなければならないほどでした.
携帯を確認しても,主催者からの連絡はなし.すぐ目の前の日本海は荒れ狂った波音を出し,容赦なく風を吹きつけます.

ブルベは自己責任だから,自分で判断するのかしら.
明日の朝までに走ればいいわけだから,風がおさまるまで待機してもいいわけで.どこで待機するんだ?さっきバス停があったようだけど,もう見当たらない・・
ブルベは時間内の完走だけが唯一の価値観.今回完走出来たら,本当にほめられるかも.
などなど,疲れもあって,いろんなことが頭をよぎります.

なにせブルベ1年目の経験不足では,こんなことは初めてで,周りに人もいないし,どう対処したらいいのかよくわかりません.

暴力的な風のところもありますが,そこを過ぎると,のろのろでも進めないことはない.状況が変わることを望みつつ,じりじりと走り,暴風が吹き荒れるところは降りて押す.うかつに降りると自転車だけが風に浮くので,フレームにまたいだまま,前に進む.この辺が大体240km地点くらい.

お,ちょっと風が弱まって時速10kmくらいで進めると思ったら,後輪がパンク.ブルベで初パンク,初チューブ交換.
幸い,明るい街灯の下だったので,スムーズに作業できました.

250km地点では何もいいことなし.260kmすぎて松前町内に入り,向かい風だけど,すごい暴風はなくなった.

270kmすぎて横風のみとなり,普通に走れるようになってきた.いい感じ!

280km松前町市街地に入り,待ちに待った追い風.暗いからビュンビュンて訳にはいかないけど,30km/時で走れてありがたい.未明に2時くらいには帰れるだろうかと計算してしまう.

まだ22時を過ぎたくらいだけど,ちょっと幻覚ぽいものが見えてきて眠いか or 燃料不足かもしれない.夜間走行になるとおなかがすかなくなるけど,ちゃんと補給した方がいいのかも.
300kmをちょっとすぎた福島のPCでコーヒー飲んでカフェイン注入.残り90km!風はやんでいる.

突然 携帯が鳴る.目が弱って細かい字が見えないけど,どうやら主催者さんかららしい.
なんでしょう.
「大会はキャンセルになりました」

私はすでに暴風域をすぎて,残り90kmなんですけど・・・・・仕方ないですね.どっちにしろ帰るしかないし.

雨がまた降ってきます.やや追い風に乗って,水たまりの国道228をひたすら,ひたすら函館に向かって,しりうち,木古内を走ります.
雨が上がると,満天の星がきれいです.

横方向に拡がる函館の街の灯がやさしく出迎えてくれます.大会はキャンセルになっているので,最後のPCは行かないで,まっすぐ228号線を函館市内に向かいます.早くホテルに帰りたいので,距離が短縮されて,ありがたかったです.
227号線から産業道路へ走り,最後に3km登ってスタート/ゴール地点に無事到着.
走行距離は385kmくらい.

待っていてくれたスタッフの方に,帰ってきたことを告げて,ブルべカードは頂いて帰りました.駐車場には意外とたくさんの車が止まっていて,他の出場者のことが気になりますが,とりあえずホテルに帰って仮眠をとり,翌朝に無事札幌に帰りました.

認定は受けられませんでしたが,なかなかできない渡島半島一周ができてよかったです.
気象庁のホームページより


江差は普段から日本海からの風が強いと思ってました.
しかし,気象庁の記録を見ると,あの日のあの時間がちょうど風がメチャ強かったようです.ちょうど風速が16m/sをこえる時間と場所をどんぴしゃで走ったようです.

PS:榎本が乗ってきた開陽丸が江差沖合で風のため座礁してしまったくらいだから,やっぱり風は強いところなのでしょう.

通ってきた函館・江差・松前・森なんかの土方や榎本の歴史が実感を持って楽しめるようになりました.


7 件のコメント:

mugen さんのコメント...

夫婦で参加していたmugenです。
函館400 お疲れ様でした。
速いですね。さすがにレースをやっていた方ですね。
あの暴風の中、よく日本海側を走り抜けたと思います。(体験者として尊敬しますわ)
今年からブルベを始められたとか。
この経験があれば、どんなブルベでも大丈夫ですね。(責任は取りませんけど)
また、スタート地点でお会いしましょう。(スタートしたら会えないので(涙))

ymd さんのコメント...

mugenさんのブログから飛んでまいりました。
PC2までの間に何度か御一緒させていただいた黄色のヘルメットにscottのバイクに乗っていたymdです。

PC2以降は昼ごはんしたり雨宿りで大幅に休憩したりでだいぶ時間を使ってしましましたが、僕が江差の海岸線に出た時に暴風に出くわし、そのままDNFの判断しました。
ブログに書かれている通り自転車に乗っていれないくらいの風で、こりゃブルベキャンセルでなくとも全員DNFだろうと思っていたところ、お一人だけほぼ完走されているという噂をきき、すげーと思っていた所でした。

キャンセルにならなければ一人のみ完走、という伝説になられたのでしょうが残念でしたね。
さすがレースをやられていたこともあって、速さのみならず根性がワタクシとは違います・・
また今後もお会いすることもあろうかと思いますが、よろしくお願いします!!

Unknown さんのコメント...
このコメントは投稿者によって削除されました。
N&N さんのコメント...

函館400お疲れ様でした。PBP600でも別海町まではよく会いましたN&N(西川)と申します。

自分は日があるうちに上ノ国まで行きましたが、もともとの寝不足と海岸線の暴風で疲れてしまい、上ノ国の温泉で長時間休憩を取り、再度出発した際に暴風警報を見てDNFの連絡をしました。その後江差まで戻る際は、追い風に乗れれば乗っているだけで30km/h出たことに驚きました。ただ、風が巻いているところを通過した際は1m以上飛ばされることもあり本当に危険でした。しかしその風の中、渡島半島を制覇されるとは・・・。伝説ですね。

ブルベのDNFの判断は安全を確保できない・危険を感じた時だと思います。主催者もコース上の状況を全て把握しているわけではありませんので中止の判断は時間を要します。また本州の団体だと、『自己責任』という言葉で逃げて中止にしない団体もあるようです。
ただ事故、怪我が無くて本当に良かったです。
認定がなくなってしまったのは残念かと思いますが、今回の参加者でもっとも強靭な肉体・精神力をお持ちだったことは間違いないかと思います。
またブルベでお会いできることを楽しみにしています。

いのみちお さんのコメント...

Mugenさん ありがとうございます.
いつもブログを拝見しておりました.
どんなブルべでも大丈夫と太鼓判をいただきましたが,あれより厳しい条件で走ることはご遠慮願いたいです.
人見知りなものですから,なかなか声をかけられないのですが,こちらこそよろしくお願いします.

いのみちお さんのコメント...

ymdさん PC1,2あたりでは声をかけていただき,ありがとうございました.
レースは中止になったら回収してもらえるなど,すぐに避難できますし,自己判断を迫られることはあまりありませんので,ブルべの難しさを身をもって知りました.
たまたま無事に帰れたので良かったですが,事故に遭って別の意味で伝説にならなくてよかったです.
また,登りで前をひいて下さい.

いのみちお さんのコメント...

N&Nさん
日本海の夕日を見たかったのですが,江差に着いたときには太陽はありませんでした.天候不良で夕日は見えなかったとは思いますが.
すごく速いペースで走られているとは思っていましたが,寝不足なのに日のあるうちに上ノ国まで行かれたのですね.

肉体と精神力をお褒めいただいて,嬉しいのではありますが,今回走り抜けちゃったのは,「暴風警報」を重大なことだと認識出来なかったこととあまりに楽観的すぎたのが原因だと思います.
皆様の意見や掲示板を見て,紙一重だったと冷や汗がでます.
私の前に走っている人たちが折り返してこないから,まだ走れるんだろうとも思ってました.
ビギナーズラックがそうそう続かないでしょうから,気をつけます.