2015年4月15日水曜日

広島サイクリング 2日目 かきしま海道

脳卒中学会は血管内の方々が,今年はふろーだいばーたーを使っちゃうよみたいな元気さで,外科手術の出番がないですなぁ,という感じで肩身が狭いので,二日目もおでかけしちゃう.

今日の予定は「かきしま海道」.100kmくらいを5時間くらいで走って,昼頃には戻ってきて,午後の学会に参加する!という自分のまじめさに,出かける前から酔いしれる.
 前半の地図
札幌より夜明けが遅くて,6時でも暗いけど出発.3月下旬の広島は寒い.冬は0度になるので自転車に乗らないのだそうだ.

寒風吹きすさぶ薄暗い中,呉市に向かう.明るくなってきたけど気温は7度.
途中見つけたナイスな名前のスーパー.

呉市には1時間くらいで到着.31号線にはヤマトミュージアムとか観光名所の看板が出ていないので,自分で探して,まだ開店前のヤマトミュージアムに行くと長渕剛ショーのポスターが貼ってあった.興味深い関係である.
向かい側にある潜水艦は何年かぶりに見たが,いい感じの迫力であった.
ヤマトミュージアム横の公園は,船の甲板みたいになっていて,妄想でヤマトに乗っている気分が味わえる.ここから海上自衛隊の護衛艦がたくさん見えて,一気にテンション↑↑
はるかイスカンダルはまだ遠い・・

このあたりの海道シリーズには,車道の左脇にブルーラインが引かれている・・・とは,聞いていたけど,実際に目にすると感激もの.この細くて青い線があるだけで,自転車が多少は受け入れられている感じがするもの.
ブルーラインの幅は20cm.


ちょっと走って,「アレイからすこじま」から,本物の潜水艦がごろごろ浮かんでいるのを見て,モチベーション↑↑↑↑
潜水艦が少なくとも6隻は浮かんでいた
倉橋島に渡る幅90mほどの海峡は,音戸の瀬戸(おんどのせと)と言って,平清盛が作ったそうで,その工事を1日で仕上げるために夕日を引き上げたという伝説がある.昨日,宮島で清盛のにわか崇拝者になった身としては,その伝説の銅像は見ておかねば.

通りすがりの小さいお菓子屋さんに「清盛の丘最中」が売っていたが,これだけ有名な人だから空港とかにも売ってるべさ~,自転車に荷物詰めないしね~と,通り過ぎたがこれが間違いであった.

「清盛像はこちら」の看板に吸い寄せられるように角を曲がると,登り.・・・傾斜はどんどんきつくなるし,曲がっても曲がってもつかない.幌見峠のきついところが延々と続く感じ.観光客としては,行くしか無い.人気の無い早朝の激坂で,誰にも認めてもらえないスタミナと努力を使い果たして清盛さんのお姿を拝見.なるほど,この高さなら,海峡の工事の様子はよく見えたことだろう.
札幌に帰ったら新・平家物語を読まなければと心に誓う.
眼下に海峡が.赤い橋が見える
夕日よ戻れ.
ここまで登れば,倉橋島にわたる二本の赤い橋にも余裕でいける高さだが,あえて海面まで下がって,あこがれの渡し船に向かうが,見つけられずに行きすぎたりもどったり.
渡し所にはだーれもいなくて,「桟橋に出て待っててね」のメッセージに従って,しばし待つ.
待っててねの張り紙
向こうから船がやってきてドリフトのように桟橋に見事な横付け.90円を無愛想なおじさんに払って数分間の瀬戸内海の船旅を経て,いよいよ瀬戸内の島に上陸.
だっだっだと船がやってくる.
かきしま海道の「切串(目的地である広島へのフェリー乗り場)まで・・・km」の表示がついているブルーラインにそって国道487号線を南下する.
これさえたどれば道に迷うことはない.初めての地を走る場合,常に自分が迷っていないかに気を付けねばならず(それでもよく迷うが),きっと脳の40%くらいはそこに使われているのではないか.道迷いを気にしなくていいだけで,思う存分景色を楽しめることに気がついた.

 後半の地図
「海道」という言葉には,初心者サイクリストにも優しそう・アップダウンの少なさそう・風光明媚なのんびりな道 という響きがあって,残り70kmじゃ物足りないかもと思い,487号線からはずれて,倉橋島の東側を南下してみる.
ここで自分の勘違いに気がつく.いくら海岸線沿いでも入り江の付近になると,道路はちょっと内陸に入り登って降りて入り江に入っていく構造になっている.このちょっとした登りがけっこうきつい.
これはやってられんと海岸沿いをずっと行くのはあきらめて,内陸をショートカットして,倉橋島の真ん中を縦断.
ここらで昼近くになり(予定では学会に戻っているはずでは?),ちょうどいい感じにひなびたお好み焼き屋さんを発見.おばちゃんが,なじみのお客さんに世間話をしている,理想のお店であった.目の前で繰り広げられる広島のお好み焼きの複雑な工程に目を奪われつつ,お冷やでクールダウン.素人とばれないように,割り箸を使わずヘラのみで,口の端をやけどしながら完食.
おばちゃんは,おつりの小銭を客から借りようとしているという愉快なお店であった.
肉玉そば 650円くらい.ごちそうさまでした.持ち帰りもできます.

ちなみに,町中のお好み焼きは,なぜかカラオケとセットのお店が多かった.スナックが日中はお好み焼きをだしているのだろうか.

487号線のブルーラインに復帰して,もうさすがに道草をする余裕が体力的にも気分的にも無くなってくる.海道としてはまだ半分以上が残っているのだが.それより学会にもどらねば.
ブルーラインには残り距離が1kmキザミで表示されているので,まるでカウントダウンされながら,励まされている感じが嬉しかった.正確な残り距離は大事だ
強風に揺れる橋を渡って,能美島・江田島に上陸.
瀬戸内海の景色がいいですなぁ.余裕こいて寄り道しすぎて疲れてきたので,もう終わらせたいなぁ.
橋から見る瀬戸内海

あの白い橋を渡ってきました.
コンビナートの中を通ったり,船を壊していたりと,いろいろ楽しめる.
船を壊している

コンビナートの間を走る
南からの追い風に乗って時速30kmでビュンビュン飛ばしてたのしー.学会へと急ぐぜ.
どこまでも続くブルーライン

昨日行った厳島を裏から見る
江田島の北西,おきみビーチあたりで,かなりの登りが出現.女子サイクリストが押して歩いていたのも,可哀想だが,やむなしの傾斜だった.
三高港を通り過ぎて南に向かうと,当然のようにものすごい向かい風.下ハン持って,早くフェリーにつきたい.地元の名物とかスイーツとか,立ち寄る気にもならない,何をしにここへ来たのか.修行するためだったっけ.向かい風に負けずに急いで学会にもどらねば.
江田島湾で再び方向転換,お待ちかねの追い風・・のはずが,登りだお.
だの登りだので,瀬戸内海はどMルートだよ,これは.

3年前の日本縦断こころ旅で火野正平が訪れた山や元海軍基地を楽しみにしていたはずなのに,自然との闘いのうちに失念してしまっていた.

残り10km,あとはのんびり~と考えていたのに,小学生サイクリストの集団を前方に見つけて,大人げなくも颯爽と抜き去り,足を使い果たして切串のフェリー乗り場のとうちゃこ.
定期便出発14:10の4分前についたのに,「風が強いから」という納得できない理由で船はでてしまった.
出向してしまった~.
次の14:50まで地元トライアスリートの方とお話.売店で,みかん羊羹,いちじくゼリーなどレアもの土産を購入.
走行距離は140km.前半に余裕こきすぎて道草して,本来の目的の所は走りすぎるだけというのも,自分の性格だから仕方が無い.
天気良く,体も自転車もトラブル無く,予定をこなせて大満足の初瀬戸内海ライドであった.

フェリーで広島に戻って,学会の最後のセッションに参加.「困難な動脈瘤」というセッションだが,血管内の話題ばかり.
登りや向かい風にも負けず急いで走ったのに学会にしっかり参加できなかったのは,予定より早めに出てしまった船のせいなのさ.

学会会場の隣のSOGOで飲んだゴディバのチョコレートドリンクが疲れた体に心地よかった.


帰りの広島空港で,清盛公のお菓子やグッズを求めて歩き回ったが,1種類しか置いてなかった.
これだけ有名な人物で,地元に縁があるのに,異常なほどの少なさ.ディズニーじゃあるまいし,版権が厳しいということもなさそうだし,何か祟りとかあるのだろうか.

平清盛の大河ドラマを熱心に見ていた奥様に,あの呉市内のお店で清盛の丘最中を買っておけば良かったというのが,唯一の後悔であった.






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